marikolog

ヴァイオリニストとして活動している水野真梨子のブログです

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レガート バイオリン教室(精華町光台 * 奈良市富雄北)

又吉直樹の「劇場」の感想などかいてみる

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火花よりも前に書き始めていたという作品です。

息子を寝かしつけた後、静かになった、照明も落とし気味の部屋でページを捲りました。このシチュエーションが良くなかった!

読後、徹夜したか何晩かだらりと過ごしてしまったような疲れ方をしました。「劇場」自体はとてもよい作品でしたけどね!

主人公・永田の行動描写が秀逸で、しょうもない理由で徹夜したり夜に激しい言葉でメールの応酬をするシーンがあり、いちいち永田に嫌悪感を抱かされるので、それで疲れたのかもしれません。

 

「火花」にもいろいろな人物が出てきましたが、呼び出して説教したろか!ちょっと顔面グーでパンチしたろか!と思わせるような人物は今回の永田だけかもしれません。でもそれも最後のシーンで、「永田、あんた頑張りやほんまに…」に変化。私としてはああしんどかった、でも、いろいろあったけど、よかった。とまるで自分の(だいたいが思い出したくない)若いころを振り返ったような気分にさせられる作品でした。

 

登場人物の永田には「そういう人もいるだろうな」「あ〜そっちに流れるか」と一定の理解は可能でも共感には至らなかったけれど、舞台人の端くれとして、作者の又吉さんのインタビューには大変共感する部分が多かったです。

 

「芸人になろうと東京に出てきたのが18歳のときで、当時周りは自分には才能があると思ってきて集まってきた人ばかり。僕にはもともと二面性があって、『いける』という思いと『自分には無理』という思いがあった。『いける』という感覚は年々薄れている。」 

 

自分には無限の可能性があると信じていた子供時代、眼に映る何もかもが新鮮で特別だったあのころ、その感覚を今息子を通して思い出しています。

もう味わうことは出来ないけれど、小さなアリに驚いたり、自分で蛇口をひねるだけで得意な気持ちになったり、魚や花に語りかけたり、純粋にそれが出来てしまうまっさらな人間が近くにいると、色んなことに慣れてしまい「いける」の感覚が薄れてきた大人である私も、少し新鮮で青い心に戻れる気がします。

そんなことも、この作品の中で一瞬出てくる、「自転車を押すお母さんに、習った空手の型を披露しながら歩く少年」や又吉さんのインタビューから感じました。

 

他人の、圧倒的な才能や華にふれたとき、嫉妬もあれば憧れもあり、でも素直にみとめられない、なにか少しでもシミ(のようなもの)を見つければケチをつけてしまう、そんな人間の心情をよくここまでダメ人間、永田を通して文字にされたと思います。

 

火花は一気に溢れ出て書ききった!という印象でしたが、今度は精神的にグリグリとダメージを受ける、また一味違う又吉さんでした。

 

 

 

作品や感想とは関係ないですが

新潮新人賞のページ、、

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これ、、

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すごいハードル高ない?!